約束をしてほしい
俺のそばにいてくれること
繋ぐ手と手
口笛が凍えそうな空でも
この先ずっと
毎日4
万事屋では毎年恒例の鍋パーティーをする
ここ最近元気がなかった神楽も
今日は機嫌がいいようだ
「すいません銀さん、僕いつも通り、送ってから直接行きますから」
新八の息子は今年で1歳になった
いや、来月で丁度1歳で
今新八は妻と息子二人を養うために
万事屋から遠くにある小さい会社に勤めている
万事屋だけで養える訳がないよな
そう呟いた時
「いえ、万事屋は僕にとってかけがえのないものですから」
彼の誇らしげな顔を見ていると
自分のした事が誰かを救えるというのが
あるのかもしれないと思った
「銀ちゃあん」
そういえばこいつもあの頃と比べれば本当に大人になった
新八も
それからあのマヨラーについていた沖田という奴も
「何」
「銀ちゃん寒いアルぅ」
「お前、アルアルは治らないんだな」
「え?」
「いやなんでもない」
そういえばこいつが大人になってくって事は
俺は年をとっていって
こいつはきれいになって
俺は
「神楽ぁ」
「銀ちゃんなしたの?さっきから」
「きれいになったな」
そう言うと彼女は
予想以上に困った顔をしていた
自分は本音を言ったつもりだが
「銀ちゃんはしわ増えたよね」
「うるせえ男は腐っても少年なんだよ」
そうやりくりしていると
新八とその家族と
それから新八の姉貴の妙が
ああそう
お妙も
「妙」
「さあ!みんな食べるわよ〜!
神楽ちゃんも栄養つけなきゃね!」
「あの〜・・」
「あら?いたの?」
「居たのじゃないよぉ、さっきから待ってたよ〜
ひどいねえママは」
お妙の奴はあの真撰組の局長と玉の輿。
それからあのゴリラの娘とは思えないほどの、
可愛い珠のような女の子が一人
妻と娘に尻を敷かれている訳だが
女はねえ、愛するより愛されるほうが幸せってもんよ
ゴリラ曰くそうらしい
「っていうか新八遅くね?」
「あら。まだかしら電話してみるわ」
万事屋ギャラリーもいつの間にか少しずつ、
確実に多くなっていて
偶然がまた偶然を呼ぶというのはまさにこれか
わいわいと騒いだ後の余韻の後
いつもそう
思う
「俺は」
「ん?」
「なんだかんだお前らに人生狂わされたよ」
「それを言うならわたしだって」
狂わされたっていうか
なんといえばいいのだろう
「それを言うなら」
「ん?」
「『お前らに出会えて本当に良かった』」
「なんだそれ」
どっかの保険会社のCMか?
そう馬鹿にすると
頬を膨らませて怒った
「銀ちゃんの悪いとこは何時になっても素直じゃないとこアル」
「しゃあねーだろこうやって生きてきたんだから」
「でもそんな銀ちゃんがだいすき」
彼女は目を緩ませて微笑んだ
「何うろたえてるアル」
「なんか・・本気?」
「失礼ネ!私は本音を言った迄アル」
これからもこうして
頬を膨らませて怒ったり
腹を抱えて笑ったり
鼻を真っ赤にさせて泣く
お前を見ていられることが
「幸せ」
「だからぎん・・え?聞いてる?聞いてた?私のハナシ」
「だから」
「幸せだなあーってさ」
あの頃の俺たちは愛情にとらわれすぎて
二人に自由がなくて
空回りばかりして
やはり自由がなければだめだ
どんな幸福もありえない
期待と不安は繰り返し
おしよせるたび深くなる
どうしてもつなぎとめられたい
迷いのないものに
そう思うと
「銀楽は宝だな」
「あ・・!銀ちゃ、やっと銀楽って名前認めてくれ」
「例えだっつってんだよ」
名前は何にしろ
可愛いには変わりないだろう
好きだ
愛してる
「今日の銀ちゃんはなんだか素直アル」
めずらしいからなでなで
おやすみ神楽
明日の朝もお前の傍で
07.09.23
春→