あなたとの恋を恋と呼ぶのなら
今までの恋は恋と呼べない
せつなさばかり大切にして
触れ合うことをおそれていた
毎日2
「銀時、ちょっと」
たばこの灰を手馴れた手つきで振り落とす
ジャンプを見ていた銀時は目も合わせない
「なんだあ、ばーさん」
向かいの女は不機嫌そうに言葉を続ける
「式はいつあげるんだよ」
「・・・・あー」
そういえば、と言うと神楽には失礼極まりないことを言う
だが、「神楽の妊娠」という思いがけない出来事に
すっかり心が奪われてしまっていた
漫画のコマを見つめながら、銀時は結婚というイベントがどういうものだったかと考える
「ばーさん」
「そういやあんた家賃」
「なんかねー神楽アイツさ、式とかそーゆうの、いらんって言うんだよね」
「・・本当かい」
「なんかめんどいってよ」
「それあんたじゃないかい」
「いやいや、なんか今は子供のことに専念したいって」
女のため息は苦く、白い煙が含まれている
「馬鹿だねアンタ。そーやって稼ぎの少ないお前をフォローしてるんじゃないか」
「マジでか」
「マジでかじゃないよ。あんたも何妊婦に頼ってんだい。少しは違う所で働くとかしたらどうなんだよ」
「ちげーよばーさん、神楽はねえ、俺のそうゆうとこが大好きなの」
この婆の溜息は、何時見ても白かった。
長く伸びた髪を切ろうか切るまいか
くるくると髪をいじりながら思案していると
ひたと指が止まる
髪は何色かなあ?
数回訪れたことのある白い病院
此処は田舎の病院ながらとても評判がよく、主治医も看護士も皆愛想が良かった
「坂田さん、どうぞこちらへ」
周りの妊婦たちは、心なしか皆満ち足りた顔をし、黙って雑誌を読んでいる。
まるでこれから迎える命を見つめるように
「こんにちは」
「・・こんにちは」
こちらを見て、にこっと笑った。
年の割に肌につやがあり、体系も性格も福与かそうなベテラン女医だ
だけど目が どこか遠くにある。
怖い
それからいろんな会話を交わした
ちょっと説教されてるみたいだった
あと銀ちゃんのことも責めていた
おめーに何がわかるんだヨ
わたしのこと
わたしと銀ちゃんのこと
あんなおばさんに何がわかるっていうの?
だからねあの公園に行ってみたよ
そしたら別の国みたいに
わたしの知らない場所みたくなってて
早く銀ちゃんにだっこしてもらわなくちゃ
そしたらこの不安だって
泡みたいにすぐ消えちゃうよね?
家路までの天気は、はっきり言って覚えていない
テレビの中ではどこだかの名店を紹介していた
新八が美味しそうですねと言ったけれど
別にそんなことには興味はなかった
早く帰ってこないだろうか
なぜかそればかりが気になった
窓からはきれいな夕日が差し込んでいた
07.09.14
NEXT